働き方改革って知ってる?
それって民間企業の話でしょ?教員には関係ないんじゃ…
働き方改革は教員には縁のない話。
そう思っている人も多いのではないでしょうか。
実は…ようやく教育現場にも、働き方改革の波が押し寄せてきているんです。
えー、でも教員は忙しいからイメージできないなぁ…
今回は、最新のデータを基に、教育現場で起きている変化を紹介していくよ。
- 本当に教員の仕事は減っているの?
- どんなところが変わってきたの?
- まだ課題は残っているの?
- 実際の現場はどうなの?
さあ、教育現場の「いま」を、一緒に覗いてみよう!
教員の働き方改革は着実に進んでいる
今回は文部科学省が出している令和4年度教員勤務実態調査集計結果を参考に見ていきます!
教員の在校時間の減少
- 全ての職種で減少
- 小・中学校の教諭:約30分の減少
- 1週間当たりの在校等時間:
- 小学校教諭:50~55時間未満が最多
- 中学校教諭:50~55時間未満、55~60時間未満が多数
30分の減少かぁ。
1人あたり年間で約100時間の削減なので、その意義は決して小さくありません!
ただし、依然として週50時間以上の在校時間が一般的であることには注意が必要です。
- 40歳以下の教員で減少幅が大きい
この傾向は、若手教員が働き方改革により積極的であることが考えられます。
いわゆるデジタルネイティブ世代によるICT活用の効果や、新しい働き方への適応力の高さ背景にあるのかもしれません。
将来的に、この世代が管理職になることで、さらなる改革の加速が期待できるかもしれませんね!
- 教諭、講師、養護教諭など全職種で減少
- 特に中学校の講師の減少幅が大きい
講師の減少幅が大きいことは興味深い点です。これは、非正規雇用者の労働環境改善の兆しかもしれません。
一方で、正教員との業務分担の変化や、責任の所在の変化などにも注意を払う必要があるでしょう。
週末の変化:ワークライフバランスの改善
- 中学校の教諭・講師:1時間以上の減少
- 小学校教諭の土日の在校等時間:平成28年度比で約20分減少
週末の在校時間の減少は、教員のワークライフバランス改善に直結する重要な変化です。
特に中学校教員の1時間以上の減少は注目ですね!
これは、部活動改革や学校行事の見直しなど、複数の要因が組み合わさった結果と考えられます。
- 中学校での大幅減少は部活動改革の影響が大きい
- 部活動の地域移行や外部指導員の導入効果
- データ:顧問をしている者の割合や週当たりの活動日数の減少
部活動改革は、教員の働き方改革の中でも特に大きな影響を与えています。
地域移行や外部指導員の導入は、教員の負担軽減に寄与しているようです。
現場でも中学校を始めとして徐々に浸透しています。
しかし、これらの変化が生徒の活動機会や教育的効果にどのような影響を与えているかについては、慎重に見極める必要があります。
- 土日の「学校行事」時間の減少
学校行事の見直しは、教育の質と教員の負担のバランスを取る上で重要な課題です。
行事の精選や効率化が進んでいるようですが、これが児童生徒の成長機会にネガティブな影響を与えていないか、継続的な観察が必要でしょう。
業務内容の変化:教育の本質への注力
- 授業(主担当)
- 朝の業務
- 学習指導(小学校)
- 学校行事
- 成績処理(小学校)
- 学校経営(小学校)
- 校務としての研修(小学校)
- 学年・学級経営(中学校)
- 生徒指導(集団)(中学校)
この業務内容の変化は、教育の「量」から「質」へのシフトを示唆しています。
授業や学習指導に関する時間が増加していることは、教育の本質に注力できるようになっていることの表れかもしれません。
一方で、減少している業務の中にも重要な教育活動が含まれており、これらをどう効率的に行うかが今後の課題となるでしょう。
- 小学校で「授業準備」が最も長い業務
授業準備時間の増加は、教育の質向上につながる可能性がある一方で、教員の負担増加も懸念されます。ICTの活用や教材の共有など、効率的な授業準備の方法を模索する必要があるでしょう。
- 成績処理時間の減少はICT活用の効果か
- ほぼ全ての学校でICTを活用した負担軽減の取り組み実施
ICT活用による業務効率化は、働き方改革の重要な柱の一つです。
ただし、ICTの導入が新たな業務を生み出していないか、また、教員のICTスキルの差による負担の偏りが生じていないかなど、注意深く見守る必要があります。
働き方改革に残された現場の課題
持ち帰り仕事増えている
- 平日:若干増加(小学校教諭で4分増)
- 土日:減少
働き方改革が進む一方で、依然として課題が残されています。
特に、平日の持ち帰り仕事の増加は注意が必要です。
見えないところで誰かが頑張っているのかも…
これは、学校での業務が効率化された反面、新たな形の負担が生まれている可能性があります。
担当する業務によって負担が変わる
- 担任児童生徒数が多いほど、在校等時間が長い傾向
- 学級担任(単式)の教諭の在校等時間が最も長い
- 担当学年が上がるほど在校等時間が長くなる傾向
- 部活動の活動日数が多いほど、在校等時間が長い
担任教員や高学年担当、部活動顧問は一部の教員への負担集中になる可能性があります。
これらの不均衡を解消し、より公平で持続可能な働き方を実現することが、今後の重要な課題となるでしょう。
働き方改革に向けた学校の具体的な取り組み
学校現場では、教員の働き方改革に向けて様々な取り組みが行われています。
学校閉庁日の実施
- 実施状況:ほとんど全ての学校で実施
- 効果:教職員の連続休暇取得。心身のリフレッシュ
- 課題:緊急時の対応体制整備
教職員が完全に仕事から離れる時間を確保することで、長期的な観点から効果が期待されます。
しかし、隠れて部活動を行う教員もおり、問題となっている一面もあります。
ノー残業デーの導入
- 実施状況:実施校の増加
- 効果:定時退勤の習慣化。業務効率化意識の向上
- 課題:特定曜日への業務集中。調整の必要性
ノー残業デーは、単に残業を別の日に押し付けるだけでは本質的な解決にはなりません。
業務の見直しと効率化が同時に進められることが重要です。
有給休暇取得の推進
- 実施状況:取得日数の増加
- 効果:教職員のワークライフバランス改善
- 課題:人員不足による取得困難
しかし、現場の人員不足により、まだ十分に機能していない可能性があります。
教職員の増員と併せて進める必要があるでしょう。
ICTの積極的活用
- 実施状況
- 学習評価・成績処理:ほぼ全校で実施
- 保護者とのコミュニケーション:約9割の学校でデジタル化
- 効果
- 業務の効率化
- 情報共有の迅速化
- 課題
- 教職員のICTスキル向上の必要性
- 情報セキュリティの確保
しかし、その効果を最大限に発揮するためには、教職員のスキル向上が不可欠です。
また、デジタル化に伴う新たな業務が発生していないか、注意深く観察する必要があります。
業務の外部委託
- 効果:教員の業務負担軽減
- 例:給食費徴収業務の自治体への移管。スクールカウンセラーの配置
- 課題:費用面での課題。外部人材の質の確保
業務の外部委託は、教員が本来の教育活動に集中できる環境を整える上で重要です。
ただし、外部人材と教員の連携が円滑に行われないと、かえって業務が増える可能性もあります。慎重な導入と継続的な評価が必要でしょう。
教員の働き方改革の今後
ここからは文部科学省が出した令和6年度概算要求のポイントに基づいて今後期待される教員の働き方改革を推進するための様々な施策について見ていきます。
教職員定数の改善:5,910人増
- 小学校高学年の教科担任制強化:1,900人
効果:専門性の高い授業実施。教科指導の質向上 - 中学校の生徒指導や不登校対策:200人
効果:きめ細かな生徒指導。不登校児童生徒への対応強化 - 小規模校への支援:30人
効果:地域による教育格差の是正 - チーム学校や学校DXの推進:100人
効果:学校運営の効率化。ICT活用の促進 - 学力課題解消:70人
効果:学力格差の是正。個別指導の充実
単に人数を増やすだけでなく、新たな人材をどのように効果的に配置し、既存の教職員とどう連携させるかが重要になるでしょう。
35人学級の推進:小学校第5学年まで拡大
- 効果
- きめ細かな指導の実現
- 教員の負担軽減
- 新学習指導要領に対応した質の高い教育提供
- 課題:教室の確保・教員の確保
35人学級の実現は、長年の課題でした。これにより、個々の児童に対するきめ細かな指導が可能になる一方で、教室の確保や教員の質の維持といった新たな課題も生じます。
ハード面とソフト面の両方からの対応が求められるでしょう。
支援スタッフの拡充
- 内容:スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの増員
- 効果:
- 児童生徒の心のケア充実
- 複雑化する家庭環境への対応力強化
- 教員の負担軽減
- 課題:人材の質の確保。学校との連携体制構築
ただし、これらの専門家と教員がどのように連携し、役割分担を行うかが重要になります。
チーム学校としての機能を最大化するための工夫が必要でしょう。
部活動改革
- 内容
- 地域連携強化
- 部活動指導員の配置:16,500人
- 効果
- 教員の部活動負担大幅軽減
- 専門的指導による部活動の質向上
- 地域と学校の連携強化
- 課題
- 地域人材の確保。費用負担の問題。保護者の理解促進
しかし、長年培われてきた「部活動文化」を変えることは容易ではありません。地域や保護者の理解を得ながら、段階的に進めていく必要があるでしょう。
まとめ:教員の働き方改革〜進展と課題の狭間で〜
ここまで教員の働き方改革について現状と今後について見ていきました。
驚かれた方も多いのではないでしょうか。
実は、働き方改革は私たちが想像していたよりも確実に進んでいるのです。
在校時間の減少、ICTの活用、部活動改革など、様々な面で変化の兆しが見えてきました。
でも正直、現場ではそこまでの変化を感じられてないかも…。
データが示す改善と、教員の皆さんが日々感じている現実との間には、まだギャップがあるのかもしれません。
そして、見過ごせない事実として、まだまだ多くの課題が残されていることも明らかになりました。
・持ち帰り仕事の増加
・教員間の負担の偏り
・根強く残る長時間労働文化
など、解決すべき問題は少なくありません。
私自身、最近は教員を辞めたいと言う人と面談をすることも多くあります。
▼教員を辞めたい人のリアルな話はこちら▼
教育の質を維持・向上させながら、同時に教員の労働環境を改善していく。
この難しいバランスを取ることが、これからの大きな課題となるでしょう。
私たち一人一人が、この問題に関心を持ち続けることが重要です。
教育は社会の基盤であり、教員の働き方改革は、子どもたちの未来に直結する問題だからです。
教育現場はまさに今、大きな変革の途上にあります。
今回のデータや分析が、教育現場の現状をより深く理解し、今後の改革の方向性を考える一助となれば幸いです。
ありがとうございました!
▼教員から転職したいという方はこちら▼