教員の皆さんの中にも、ストレスなどで体調不良が続き、病気休暇を検討している方がいるのではないでしょうか?
文部科学省による令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査についてによると、病気で休職している教員はとても多いことが分かります。
学校種 | 病気休職者数 |
小学校 | 4,230人 |
中学校 | 2,106人 |
高等学校 | 1,246人 |
特別支援学校 | 1,246人 |
ですが、病気休暇を取りたくても

どのタイミングで病気休暇を取ればいいの?




具体的な手続方法が分からない




休暇中のお給料はどうなる?
このような悩みを抱え、困っている人も少なくありません。
そこで、今回は教員の病気休暇に関する手続き方法や給与への影響、復職までの流れを詳しく解説し、皆さんの病気休暇に関する不安や懸念を解消していきます。
- 病気休暇取得の手続き方法
- 給与・ボーナスへの影響
- 管理職への相談のポイント
- 復帰に向けた準備や手続き
教員の病気休暇とは
教員の病気休暇とは、そもそもどういった休暇なのでしょうか?
ケガや病気などにより、勤務できなくなった時に取得できる休暇のこと。




入院や精神疾患などで働けなくなる時に使えるね
それでは病気休暇の具体的な手続きや内容について見ていきましょう。
病気休暇の種類と期間
教員の病気休暇は教職員の休暇によると、以下の3種類あります。
- 公務傷病休暇(公務による病気、けが)
- 結核療養休暇(結核性疾患)
- 私傷病休暇(公務以外の個人的なけが)
それぞれの取得期間は以下の通りです。
休暇名 | 期間 |
公務傷病休暇 | 療養に必要な期間 |
結核療養休暇 | 3年間 (自治体によって異なる) |
私傷病休暇 | 90日以内 (自治体によって異なる) |
また、病気休暇とは別に「病気休職」というものがあります。
病気休職とは、教員が病気休暇を使い切っても回復しない場合に、教育委員会が指示して取得する休職のこと。
期間は最大3年間(自治体によって異なる)。




いろいろな種類があるんだね!
診断書の必要性と取得方法
病気休暇・休職を取るにあたって、診断書は必要なのでしょうか?
病気休暇 | 主治医の診断書が必要 |
---|---|
病気休職 | 主治医の診断書に加えて、自治体指定の病院での診断書が必要なことがある (自治体によって異なる) |
病気休暇は主治医の診断書が必要です。この診断書は、各病院によって様々なので、内容にバラつきがあります。
また、病気休職については、主治医の診断書に加えて、自治体が指定する病院の診断書も必要になる場合があります。




長く休むから、その分審査が厳しいんだね..
また、診断書の取得方法は以下の通りです。
- 病院を受診し、診察を受ける
- 医師に診断書の発行を依頼する
このとき、「利用目的」や「提出先」をしっかり伝えましょう。 - 診断書を発行してもらう
ただし、発行までに1~2週間かかる場合があります。
給与・ボーナスへの影響
病気休暇中のお給料やボーナスはどうなるのでしょうか?
病気休暇中、最大90日間(自治体によっては180日間)お給料は変わらず、全額支給となります。




全額もらえるなんて、ありがたいね!
病気休暇取得の手続き方法
申請の流れと必要書類
まずは、「病気で休みたい」という旨を学校の管理職に伝えましょう。
学校から医師の診断書の提出が求められたら、主治医から診断書を発行してもらいましょう。
診断書をもらったら、速やかに学校に提出しましょう。
休暇が取れたら、しっかり休みましょう。
休暇期間が終わったら、復職します。
復職する際は、復職願を学校に提出する必要があります。
病気休暇の期間内に回復できなかった場合、病気休職を取得できます。
その際、休職願や医師の診断書を提出する必要があります。
管理職への相談のポイント
体調不良が続き、病気休暇を取りたいと思ったら、まずは管理職へ相談する必要があります。
その時は以下の内容を意識するといいでしょう。
- 相談してもいい日や時間帯を聞いておく
- 相談内容を事前にまとめておく
管理職はやることが多く、アポなしで声をかけても迷惑になることがあります。
「〇日の〇時は空いていますか?お話させていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」と事前に一声かけておく方が良いでしょう。
また、相談内容をしっかりとまとめて、話したい内容が相手に伝わるようにしておくことも大切です。
同僚へのフォローアップ
病気休暇を取るにあたり、同僚の先生方には迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。
少しでも負担を減らすように、日頃から以下のようなことを心掛けておくといいでしょう。
- 復習プリントなどを多めに印刷しておく
- 授業計画などを見える位置に貼っておく
- 教室内は常に整理整頓した状態にしておく
- 生徒などの情報共有をこまめにしておく
とはいえ、病気休暇は事前に引継ぎがしっかり行える状態ではないことが多いです。
病気休暇中の過ごし方
治療に専念するための環境づくり
病気休暇中は、とにかく体を休めて治療に専念しましょう。
- 規則正しい生活を送る
- 趣味や好きなことを楽しむ
- 毎日散歩をする
- ボランティアに参加する
このように、学校や仕事のことは考えず、規則正しい生活を送りながら、趣味を楽しんだり軽く運動をしたりして、気持ちをリフレッシュさせるのがおすすめです。
経済面での準備と対策
病気休暇を取得するために必要な費用は以下の通りです。
- 診断書(3000円~6000円が相場)
病気休暇を取得する際に、主治医の診断書が必要となります。
診断書は保険適用外のため、実費となります。
1枚につき、3000円~6000円が相場となるため、この分の費用は用意しておきましょう。




生活費は給料が全額支給されるから、安心だね!
家族とのコミュニケーション
病気休暇中、多くの人は精神的に不安定になりやすいです。
そんな時、1番側で支えてくれるのが家族です。
辛い時や悲しい時は、家族に気持ちを話して聞いてもらうだけでも、少しスッキリします。
その時は、家族に感謝の気持ちをもって「ありがとう」と伝えてみてください。
休暇中だからこそ、家族と密にコミュニケーションを取って、日頃伝えきれていない感謝の言葉を口にしてみれば、きっとあなたの心も回復に近づくはずです。
復職に向けた準備と手続き
復職のタイミング
病気休暇は最大90日(自治体によっては180日)となっています。
その休暇が終わり、病気の状態が良くなっていれば復職するタイミングになります。
または、休暇中であっても症状が回復し、「また仕事がしたい!」と思えば、医師と相談して、復職するというのもタイミングの1つとして考えられます。
必要な書類と手続き
復職するときの流れは以下の通りです。
まずは主治医に復職ができる状態か否かについて相談しましょう。
復職を希望する場合、主治医からの許可が必要になります。
管理職に復職をしたい旨を相談しましょう。
自分の状態や現在の学校の状況など、しっかり話をすり合わせておくことが重要です。
復職をする際には、復職願と承諾書を提出する必要があります。
必要な書類については、自分の所属する自治体の内容をよく確認してください。
リハビリ出勤制度の活用法
リハビリ勤務制度とは、精神疾患などで休職した従業員が復職する際、段階を踏んで通常業務に戻す制度です。
病気休暇・休職を取得した方が復職をする際の復職支援プログラムが各都道府県の自治体ごとに設置されています。
(例)東京都の場合
対象者 | 東京都公立学校教員 |
---|---|
必ず受講を求めているか | なし |
内容 | ・第1段階 【職場の雰囲気に慣れる。】 週3日、半日程度。 文書作成補助、パソコン練習、図書管理・整理等 ・第2段階 【教職を視野に入れる。】 週4~5日、半日程度以 上。 分掌補助、指導案作成、授業参観、給食・清掃指導等 ・第3段階 【教壇に立つ。】 週5日、ほぼ全日。 授業参観、給食・清掃指導、担当教科の指導、管理職の指導下での授業実施等 |
期間 | 原則3か月 |
※各都道府県の詳しい内容はこちら↓
01_15 復職支援プログラムの概要(教育職員)
病気休暇後の職場復帰とキャリア
職場関係の再構築
しばらく病気休暇で休んだからといって、職場の方に気まずさを感じる必要はありません。
きっと周りの人たちも「どのように接したらいいのだろう?」と不安に思っているはずです。
そんな時、あなたが無理をして取り繕っていたら、きっと周りの人たちも困惑してしまいます。
だから、普段通りのあなたで何も気にせずに職場の人と接すればいいのです。




時間が解決してくれるはず!
働き方の見直しとセルフケア
今後も無理をしないで働けるように、自分の働き方を見直してみましょう。
例えば、
- 自分の苦手な作業は人に頼む
- やらないことリストを作る
- 相談できる人をつくる
- 辛くなった時の対処法を予め考えておく
このように自分ひとりで抱え込まず、周りに頼る方法を考えたり、自分の気持ちをコントロールするために事前に対処法を考えたりすると良いでしょう。




自分で自分を大事にしよう!
今後のキャリアプランニング
今後のキャリアプランニングについては以下のような選択肢があります。
①教員を続ける
②転職をする
復帰後も教員を続けて、自分のキャリアを構築していくのもいいでしょう。
休暇を通して、今後どういう教員になりたいか考えるきっかけになった人もいるのではないでしょうか。
または、これを機に転職をしてみるのも1つの手です。
教員以外の仕事を経験し、自分のキャリアをアップグレードしていくのも素敵な選択肢だと思います。
まとめ
今回は病気休暇について詳しく紹介しました。
教員には真面目で頑張りすぎてしまう人がたくさんいます。
体や心を壊してしまう前に、休暇をうまく活用して自分の体を大切にしてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。