こんにちは!ゆとり転職です!
教員からの転職に役立つ情報を発信しています。
今回は公立教員の退職金について、実際に私が貰った金額を例にお伝えしていきます。
教員を辞めたい…
けど定年まで働けば退職金が貰えるし…
いま教員を辞めたら退職金って貰えるのかな?
教員から転職をしたいと考える人の中には、退職金について気になる方も多いのではないでしょうか。
新卒で教員になった方は定年まで働くと大体2000万円くらいの退職金が貰えると言われています。
でも30年後には半分になるって聞いたことも…
将来のキャリアや生活設計を考える上で退職金がいくら貰えるのかは大切な問題です。
私自身、東京都の公立高校で数学教員として6年間勤務した後、28歳で転職を決意しました。ただ実は、その当時は転職活動に必死で退職金がいくら貰えるのか等の計算もせず、何も考えずに辞めてしまったのです。
ちゃんと事前に計算をしておけば良かったと今では後悔しています…。
この記事では、教員から転職をした私自身の経験を交えながら、教員の退職金について詳しく解説していきます。私と同じように転職を考えている教員の方々はもちろん、将来のキャリアプランを考えている若手教員の方々にも参考になる情報をお届けしたいと思います。
・教員の退職金がいくら貰えるのか分かる。
・自分の退職金を計算できるようになる。
教員の退職金は、一般的な企業の退職金制度とは異なる特徴があります。公務員としての安定性と、教育現場特有の勤務条件が反映された制度となっているのです。しかし、その詳細を知っている教員は意外と少ないのが現状です。
この記事を通じて、教員の退職金制度の仕組み、実際の金額、そして退職金が人生設計に与える影響についてお伝えしていきます。
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【教員版】退職金の計算方法
まず、教員の退職金制度の基本的な仕組みについて詳しく説明します。
退職金の計算式
公立教員の退職金は、基本的に以下の計算式で算出されます。
難しい単語がたくさん並んでいて分かりづらいなぁ…
順番に見ていきましょう!
①勤続年数に応じた給料を早見表で確認する
給料は、各地方自治体が定める教育職給料表に基づいて決定されます。表には「級(教諭・教頭・校長などの役職)」と「号給(勤務年数など)」があり、級・号給が上がると給料月額も上がります。
今回は東京都を例に教職員給料表を参考に見ていきます!
東京都の新卒教員の場合は2級9号からスタートします。教員の給料は年功序列で毎年平均して4号ずつ上がっていき、一定の年齢や経験で主任教諭や主幹教諭の試験を受けることができるようになります。
・最上位(+6号)
・上位(+5号)
・中位(+4号)
・下位(+1〜3号)
・最下位(昇給なし)
最上位の先生はとんでもなく仕事をしていた覚えが…。
よほどのことがない限りは「最下位」はないと思ってください!
ちなみに私の場合は退職時に2級30号でした!
②教職調整額を月給の4%で計算する
公立学校教員の残業代(時間外勤務手当)の代わりに支給される一律の金額で、月給の4%が基準となっています。勤務時間の長短にかかわらず、教員の勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として支給されており、給料相当とされています。期末・勤勉手当や退職手当などの算定の基礎ともなっています。
要は見込み残業みたいなものか…。
それにしても一律4%って…。
2024年8月21日の朝日新聞DIGITALによると、2026年から基本給の13%とする案がまとめられていて、来年度予算案の概算要求に盛り込まれる見込みらしいね!
例えば、退職する年の給料月額が300,000円の場合、教職調整額は12,000円となります。
③勤続年数に応じた支給率を確認する
支給率は退職時の勤務年数によって異なり、給料の調整額等に受給年数分の支給率を乗じて得た額を退職手当基本額に加算していきます。
私の場合は6年間勤めたので5.4倍(5.4ヶ月分)ということになります!
④自己都合退職でない人は退職手当調整額も計算する
定年等退職者のみ支給される手当です。退職手当調整額とは属していた等級によって決定されます。退職前240月分を第1号〜第6号までの職員区分に応じた点数に単価1,100円を乗じた額を加算します。
※普通退職者(自己都合退職者)は対象外です!
自己都合退職の場合は退職手当調整額の対象外です。
詳細は各自治体の退職手当をご確認ください!
教員の退職金シミュレーション
ここからは実際に私自身の例で具体的に見ていきます!
実際の退職金を大公開!
東京都の公立高校教諭(大学新卒で教員採用試験に合格)
採用年月日 | 平成29年4月1日 |
退職年月日 | 令和5年3月31日 |
勤務年数 | 6年間 |
退職時の職務・号級 | 2級30号 |
給料・教職調整額・支給率・退職手当調整額を算出してみよう!
給料 | 253,100円 |
教職調整額(4%) | 10,124円(253,100×4%) |
支給率 | 5.4月分 |
退職手当調整額 | 0円(自己都合退職のため) |
退職金=(253,100+10.124)×5.4+0=1,420,869円
※小数点は切り捨て
ということで私の退職金は142万869円でした!
おお!6年間だけなのに結構もらえるんだね!
この金額が高いと思うか低いと思うかは人それぞれの価値観で変わってきます。
ちなみに…もし定年まで勤めたとするといくら貰えるのかな?
上記計算式に当てはめて、これから新卒として勤務した場合を試算してみたよ!
校長で定年を迎えると退職金はいくらになるか
ここから税金が引かれますが、教諭のまま定年を迎えても2,000万円弱も貰えるのか!!
最終的な職務や昇給時期によって異なるけど、ストレートに昇進して校長で退職を迎えると3,000万円くらいは貰えるんだね!
退職金の税金はいくらになるか
教員の退職金には住民税と所得税がかかります。
ただ、退職金には「退職所得控除」という優遇措置があり、勤続年数に応じて一定額が非課税となることがあります。
実際にどのくらいの控除が受けられるのか見ていきましょう!
退職所得控除の早見表
課税退職所得金額のシミュレーション
退職手当から退職所得控除額を 差し引いた残額の1/2を課税退職所得金額としています。
例えば私の場合…
【6年間の勤務】
・退職金の金額:1,420,869円
・退職所得控除:2,400,000円
全額が非課税となりました!
ただし、退職金が控除額を超える場合は、超過分に対して所得税と住民税が課税されます。
実際にいくらになるのか見ていきましょう!
教員の退職金に係る所得税と住民税
課税退職所得金額 | 税額(一円未満切り捨て) |
195 万円 以下 | 課税退職所得金額×5%×102.1% |
195 万円 超 330 万円 以下 | (課税退職所得金額× 20% - 427,500 円)×102.1% |
330 万円 超 695 万円 以下 | (課税退職所得金額× 20% - 427,500 円)×102.1% |
695 万円 超 900 万円 以下 | (課税退職所得金額× 23% - 636,000 円)×102.1% |
900 万円 超 1,800 万円 以下 | (課税退職所得金額× 33% - 1,536,000 円)×102.1% |
1,800 万円 超 4,000 万円 以下 | (課税退職所得金額× 40% - 2,796,000 円)×102.1% |
4,000 万円 超 | (課税退職所得金額× 45% - 4,796,000 円)×102.1% |
市町村民税 | 課税退職所得金額×6%(100円未満切り捨て) |
都道府県民税 | 課税退職所得金額×4%(100円未満切り捨て) |
例えば…「退職金が2,160万円で、勤続年数35年の場合」
退職所得控除額 | 1850万円(勤続年数35年より) |
課税退職所得金額 | (2,160万円 – 1,850万円)÷ 2 = 155万円 |
所得税 | 155万円 × 5% × 102.1% ≒ 7.9万円 (79,127円) |
住民税 | 155万円 × 10% = 15.5万円 |
合計税額 | 7.9万円 + 15.5万円 = 23.4万円 |
最終的な手取り | 2,160万円 – 23.4万円 = 2,136.6万円 |
退職時に共済組合貸付金(住宅資金、一般資金等)の未償還額がある場合、退職手当から控除されます!
退職金が2000万円くらいの人で税金が20万円ちょっとかかるイメージかな!
退職時に共済組合貸付金(住宅資金、一般資金等)の未償還額がある場合は、退職手当から控除されます!
退職金に住民税がかかる理由
そもそも何で退職金に住民税がかかってくるの?
住民税は前年の所得に基づいて計算され、毎月の給料から少しずつ徴収されます。
例えば、2023年の所得に対する住民税は、2024年6月から2025年(令和7年)5月にかけて納付します。
そのため、3月末で退職すると、4月と5月の給与がないため、その2か月分の住民税が未納になります。
なるほど!
だから未納分(4月と5月分)を退職時に一括で支払う必要があるんだね!
教員の退職金は今後なくなるのか?
ここまで教員の退職金について解説をしてきました!
正直なところ、6年間の勤務で140万円以上の退職金が貰えるとは思っていませんでした。
私の場合は若いうちに転職を決意したので、退職金はあまり期待していなかったのですが、予想以上の金額に驚きました。
ただ…もし定年まで働いていたら、2000万円近くの退職金が受け取れたと思うと、その意味では、確かに大きな金額を手放したことになります。
1800万円くらい損しているんだもんね…
でも実は退職金って年々下がっているの知ってる?
実は教員の退職金、過去数十年間で段階的に引き下げられてきました。
総務省の地方公務員給与実態調査によると、60歳定年退職者の平均支給額は平成18年から令和5年にかけて約677万円も減少しています。
昔は平均でも3000万円近く貰えていたんだね!?
退職金のために頑張っている人だっているのに…
今後も教員の退職金が減少していく可能性は大きく公務員といえど安定ではなくなる時代がやってくるかもしれません。
でも例え、将来教員の退職金が半額になったとしても1000万円貰えるとしたら大きいよね。
私自身も6年で転職をしましたが、確かに、定年まで働けば大きな退職金がもらえかもしれません。
でも、そのために自分の夢や挑戦を諦めたくない。
今の自分にはまだ、新しいことに挑戦するエネルギーがある。
この機会を逃したくないと思って私は転職を決意しました!
よくある質問(休職や自己都合の場合)
教員の転職に関してたくさんのご質問をいただくので、こちらにまとめさせていただきました!
病気などで休職をした場合、教員の退職金はどうなりますか?
休職を取得すると、その種類や期間に応じて退職金の計算に用いる勤続期間が短くなるため、結果的に退職金額が減少する可能性があります。ただし、育児休業などは一部しか除算されないなど、休職の種類によって影響度が異なります。退職金への影響を最小限に抑えたい場合は、休職の種類や期間を慎重に検討することをお勧めします。
- 基本的な考え方
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- 退職金は勤続期間に基づいて計算されます。
- 勤続期間は、都の職員になった日から退職日までの期間から、休職期間などの除算すべき期間を引いた期間となります。
- 休職の種類による影響
-
- 育児休業:取得期間の1/3を除算(例:1年間の育児休業なら4ヶ月分除算)
- 病気休職、停職、大学院修学休業:取得期間の1/2を除算
- 専従休職、配偶者同行休業:全期間を除算
- その他の注意点
-
- 定年・勧奨退職等の場合、1年未満の端数月は1年に切り上げられます。
- 国家公務員等から引き続いて都の職員になった場合、その期間が勤続期間に通算される可能性があります。
懲戒免職になった場合でも退職金は貰えますか?
懲戒免職の場合、退職金が減額されたり、最悪の場合は支給されないこともあります。
具体的には以下のようなケースが考えられます。
- 通常の懲戒免職
-
退職金が減額される可能性がある
- 重大な非行による懲戒免職
-
退職金が支給されない可能性がある
- 刑事事件に関与した場合
-
退職金が没収される可能性がある
ただし、これらの判断は各自治体の規定や個別の状況によって異なります。
自己都合退職でも退職金は貰えますか?
貰えます。
自己都合退職の場合は退職手当調整額がつかないですが、勤続年数に応じた給料月額に支給率を掛けた金額が貰えます。実際に私も6年間勤務をして自己都合で退職をしましたが、140万円近く貰うことができています。
退職手当はいつどのように貰えますか?
退職手当の振込時期と手続きについて、以下の通りです。
振込日
- 定年・勧奨退職者、3/31付の自己都合退職の場合、原則として4月22日に振り込まれます。
振込先
- 退職者本人が指定した口座に送金されます。
確認方法
- 振込日以降に、指定口座の記帳などで入金を確認してください。
注意点
- 提出書類に不備がある場合や、指定口座の情報に誤りがあると、4月22日の支給ができないことがあります。
- この場合、退職時に勤務していた所属(事務担当)を通じて、退職者本人に連絡が入ります。
関連書類
以下の書類が、所属を通じて送付されます。
- 退職手当額決定通知書
- 退職手当計算内訳書
- 退職所得の源泉徴収票
退職手当の円滑な受け取りのために、提出書類の確認と口座情報の正確な記入を心がけましょう。また、4月22日以降に入金が確認できない場合は、元の所属に問い合わせることをお勧めします。
まとめ
今回は教員の退職金について解説をしていきました!
全ての教員にとって大切な内容ですので是非ブックマークしておいてください!
教員の退職金の特徴
・勤続年数が長いほど有利になる仕組み
・自己都合退職でも一定の金額が保証
・税制上の優遇措置がある
・退職金は年々減少している
教員の退職金は、長期勤務ほど金額が大きくなり、定年まで働くと平均で2000万円ほど貰えます。
実際に6年間勤めた私が自己退職をした場合に140万円ほど貰えました!
退職を考えている20代教員の方へ
よし!じゃあ私も早速退職を!
退職の前に将来のことも考えていこうね!
- 退職金だけでなく、キャリアプラン全体を考慮する
- 退職金の金額だけでなく、転職後の収入や生活の質も考慮に入れる
- 長期的な視点で、自身の成長と幸福度を重視する
- 早めに情報収集し、シミュレーションを行う
- 自身の状況に基づいた具体的な退職金シミュレーションを行う
- 複数のシナリオ(例:5年後に退職、10年後に退職、定年まで勤務)を比較検討する
- 退職後の生活設計をしっかり立てる
- 退職金の使途を具体的に計画する(例:スキルアップ、起業資金、投資など)
- 転職活動期間中の生活費も考慮に入れる
- 金銭面だけでなく、自己実現や幸福度も重視する
- 退職金の多寡だけで判断せず、自身のやりたいことや生きがいを大切にする
- 挑戦することの価値を考慮に入れる
教員の退職金は、確かに魅力的な制度です。
教員の離職率が低い理由も頷けますよね。
▼教員の離職率についてはこちら▼
しかし、それだけを理由に教職に留まるべきではありません。
自分の価値観やキャリアビジョンと向き合い、納得のいく選択をすることが何より大切です。
私自身、28歳での転職は大きな決断でしたが、新たな可能性に挑戦できることにワクワクしています。確かに、金銭的には大きな退職金を諦めることになりましたが、それ以上に価値のある経験と成長の機会を得られると確信しています。
この退職金も新たなキャリアへの投資と捉え、学校の外でチャレンジする決意を固めました。
金額の大小だけでなく、自分の人生をどう生きたいかという観点から判断することが大切だと感じています。
転職に伴って一時的に収入が途絶える可能性があります。その際の生活資金として退職金を活用するのも一つの方法です。
▼教員を辞めたいと言った初任教員の話も是非参考にして見てください!
今回の記事が、同じように転職を考えている教員の方々の参考になれば幸いです。皆さんの人生が、より充実したものになることを心から願っています。
心から応援しています!
▼教員から転職したいという方はこちら▼