
教員の産休中のお給料はどうなっているの?




産休について詳しく知っておきたい!
人生の一大イベントである“出産”。
子どもが生まれる楽しみがある一方で、必ず付きまとってくるのが金銭面の不安。
産休制度の仕組みがよく分かっておらず、思い悩んでいる教員の方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、教員の方が安心して産休を取得できるよう、給与面での不安を解消し、具体的な手続きの流れと準備すべきことを詳しく解説していきます。
この記事を読むとわかること
- 産休中の給料について
- 産休取得するための手続き
- 育休制度について
- スムーズな職場復帰の仕方
教員の産休制度の基本
産休中の給料
多くの人が気になっている産休中のお給料。さて、どれくらい支給されるのでしょうか?
産休期間中、給料は全額支給。ボーナスも全額支給される。(勤務月に応じて変動の可能性あり)




全額もらえるなんて、教員は恵まれているね!
産休の取得可能期間
教員はどれくらいの期間、産休を取得することができるのでしょうか?
教員の産休期間は、出産予定日前の8週間~予定日後の8週間。
ただし、予定日よりも早く生まれた場合は、その生まれた日から8週間後になります。
民間では産前6週間前から産休取得可能なので、教員は民間に比べて制度が充実していると言えるでしょう。
産休代替教員の配置
産休に入ると、欠員が出てしまいます。空いた穴を埋めるために一体どうなるのでしょうか?
産休の期間中、職務を補助・代行する教員(=産休代替教員)が配置される。
産休中の欠員を補助するために、代わりの教員が配置されることになっています。
しかし、近年の教員不足問題が深刻化し、この代替教員を確保するのが難しい学校も増えてきているようです。
最近、政府が産休の代替要員について、非正規だけでなく正規の教員を充てた場合も給与の一部を国庫負担の対象とする政令改正を閣議決定したそうなので、今後教員不足が徐々に解消されていくことを期待します。




私の学校でも、代替教員が見つからず、大変だったな…
教員の産休取得に必要な手続きとその他の支援制度
学校への報告のタイミング
妊娠しているのが分かったら、どのタイミングで報告すればよいのか解説します。
①心拍が確認出来たら
心拍確認後は、職場に報告するタイミングの1つとされています。
安定期に入っていないので、まだ安心しきれないところはありますが、万が一仕事で配慮が必要なことがあれば、早めに報告したほうが良いです。
また、つわり等で体調不良が続く場合も早めに報告しておきましょう。
報告する順番は学年主任→副校長(教頭)→校長の順に報告するのが望ましいでしょう。
②安定期に入ったら
管理職以外の教員、児童生徒や保護者には安定期に入ってから報告するのがベストです。
安定期に入るまでは流産の可能性も高いため、公に妊娠報告をするのは控えておいたほうがよいでしょう。
産休取得のための具体的な手続き
産休取得するための具体的な手続きについて解説します。
- ①自分が所属する自治体の手引きやハンドブック等を確認する
-
産休の手続きは、各自治体によって申請方法は異なります。
自分が所属する自治体の要綱や手引きをよく確認し、それに従って申請しましょう。
- ②必要書類を揃える
-
産休を取得するためには、母子手帳が必要になってくることがほとんどです。
それ以外にも各自治体によって、必要書類は異なるので、自分自身でよく確認しましょう。
産休以外に利用できる休暇
妊娠したら、産休以外にも以下のような特別休暇が利用できます。(※自治体によって異なる場合があります)
順番に詳しく解説していきます。
【条件】
妊娠中から出産後1年以内の間で、妊娠や出産、育児に関する医師等の保健指導又は健康診査を受ける場合に利用できる。
【日数等】
時期 | 利用できる回数 |
妊娠24週まで | 4週間に1回 |
妊娠25週から 36週まで | 2週間に1回 |
妊娠37週から 出産まで | 1週間に1回 |
出産後1年まで | その間に1回 |
【条件】
通勤に利用する交通機関の混雑具合が、母体及び胎児の健康保持に影響があると認められたときに、勤務時間の始めと終わりに休むことができる。(1日につき60分以内)
【日数等】
妊娠期間中
【条件】
妊娠に起因する障害のため、勤務が著しく困難な場合、病気休暇や産前休暇とは別に利用できる。
【日数等】
3週間以内




教員はいろいろな休暇が使えるんだね!
教員の育児休暇制度について
産休と育休の違いと期間
産休とは、教員が無事に出産し体力を回復することで職場に復帰できるよう、出産が近づいた時期と産後しばらくのあいだ休業を与える制度のこと。
子育てをするために休業できる制度のこと。
教員の育休期間は子どもが最大3歳になるまで取得することができる。
育休中の給与はどうなるの?
給与:基本的には出ない。その代わり、育休手当が支給される。
支給期間:子供の1歳の誕生日前日まで。保育園に入園できなかった場合は1歳6カ月まで支給が伸びることもある。
支給額:
・育休開始から180日まで
育休取得前6か月の賃金を180で割った金額×67%×支給日数が支給される。
・育休開始から181日以降
育休取得前6か月の賃金を180で割った金額×50%×支給日数が支給される。




民間に比べてかなり長い期間、育休が取れるね!
パパ・ママ育休プラスの活用方法
パパ・ママ育休プラスとは、共働き世帯において育休を取得した母親だけでなく、父親も育児休暇を取得する場合、1歳2カ月になるまで延長して育児休業を取得できるようになる制度です。
この制度を活用すれば、より長い期間夫婦で一緒に子どもを育てることができます。




パパも育休を積極的に取得していこうという制度だね!
パパ・ママ育休プラスを利用するための条件
- 子どもが1歳になるまでに、配偶者が育児休業を取得していること。
- 本人の育児休業開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前であること。
- 本人の育児休業開始予定日が、配偶者の育児休業の初日以降であること。




あくまでもこの制度は共働き世帯を対象にしたものです
育休手当の延長申請と条件
育休手当は原則として1年間の給付期限があります。
しかし、子どもが1歳になって職場復帰する予定だったにも関わらず、それを実現することができなかった場合、育児休業給付金の延長手続きを申請する事が出来ます。
ただし、厳しい条件付きで少しでも該当しなかった場合、手続きが出来ないので注意が必要です。
- 育児休業後の復帰を想定して、保育所への入所を希望しているが入所できないとき
- 育児休業後の復職を想定して、配偶者の育児休業を予定していたが、配偶者の死亡・別居・婚姻解消等により復職が出来なくなったとき。
なお、詳しくは公立学校共済組合のHPをご覧ください。
産休・育休後の職場復帰に向けて
いつ復帰するのがベスト?
どのタイミングで育休から復帰すればいいのか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
ここからは復帰のタイミングにベストな時期をご紹介します。
4月復帰
教員の場合、一番多いのが4月復帰。
ちょうど年度初めで迷惑がかかりづらく、周りの先生と同じタイミングでスタートを切れるので、4月に復帰する先生も多いです。




私の学校でも、4月に復帰する先生ばかりでした!
5月復帰
慣らし保育が終わった後の5月から復帰するということも可能です。
子供が保育園に入り、新しい環境に馴染めるまで側にいてあげられるのが大きなメリットではないでしょうか。
しかし、5月からいきなり通常業務をこなしていく必要があったり、4月の間の欠員を埋めるために周りに迷惑がかかったりなどのデメリットも考えられます。
2学期から復帰
自分自身の生活にも慣れ、1学期の間にゆっくり準備することができる2学期からの復帰もおすすめです。
しかし、保育園によっては入園したら1ヶ月以内に職場復帰しないといけないというルールがあるところもあるそうなので、しっかりと確認する必要がありますね。
スムーズな職場復帰のために
育児をしながら仕事をすることは想像以上に大変です。
スムーズに職場復帰ができるよう、以下のことを育休中に夫婦で話し合っておくとよいでしょう。
- 家事分担はどうするか?
- 保育園の送迎はどうするか?
- 子供が病気になったときはどうするか?
- 保育園からの呼び出しがあった場合、どう対応するか?
- お互いの働き方はどうするか?
- 食材宅配サービスの検討
- ベビーシッターや家事代行の検討




子育ては何が起こるかわからないから、事前準備が大切だね
教員の子育て関係の制度・働き方
教員には子育てに関する様々な制度があります。
これらを有効活用して、無理のない範囲で仕事と子育てを両立させていきましょう。
小学校入学前までの子どもを育てている間、短時間で働くことができる制度です。
以下の勤務時間の中から、自分のライフスタイルに合った働き方を1つ選択できます。
(ただし、勤務時間は自治体によって異なります)
- 1日4時間勤務
- 1日5時間勤務
- 週3日勤務
- 週2日半勤務
お給料はどうなる?
時短勤務をすることで、労働時間に応じて給与額が減少してしまいます。
給与の減額率は、学校や自治体によって異なりますが、10%~30%くらいが一般的です。
他の制度と併用はできる?
- 育児時間との併用はできます。
- 部分休業との併用はできません。
小学校入学前までの子どもを育てている間、正規の勤務時間の始めまたは終わりに2時間を超えない範囲内で休業することができます。この制度は30分単位で取得可能です。
【取得例】
- 勤務開始時に2時間取得した場合
→10:15から勤務開始となる - 勤務終了時に1時間取得した場合
→16:00に勤務終了となる
お給料はどうなる?
部分休業で勤務していない時間は、1時間ごとに給与額が減少してしまいます。
つまり、2時間休むと2時間分お給料が減ってしまうのです。
他の制度と併用はできる?
- 育児時間との併用はできます。
※ただし併用する場合、育児時間と部分休業合わせて2時間以内の休暇にしなければなりません。 - 時短勤務との併用はできません。
小学校入学前までの子どもを育てている間、1日の勤務時間を変えることなく、始業・終業時刻を変更することができる制度です。
ただし、勤務時刻の設定は自治体・学校によって異なります。
【取得例 通常8:30~17:15の場合】
- 早出勤務 7:30~16:15
- 遅出勤務 9:00~17:45
お給料はどうなるの?
勤務時間は変わらないため、給料に影響はありません。
他の制度と併用はできる?
- 育児時間との併用はできます。
- 部分休業・時短勤務との併用はできません。
1歳6か月までの子どもを育てている教職員が対象で、1日2回それぞれ45分以内または2回分を連続して1日90分以内で休暇を取ることができます。(ただし、自治体によって子どもの対象年齢・取得可能時間は異なります)
【取得例】
- 保育園送迎のため、出勤時30分と退勤時30分休暇を取得
- 子どもの世話(授乳など)をするために、勤務中に90分休暇を取得
お給料はどうなる?
特別休暇であり有給のため、給料が減額されることはありません。
他の制度と併用はできる?
- 時短勤務・部分休業どちらも併用できます。
中学校卒業までの子どもを育てている方が対象で、1日1時間単位で休暇を取得できます。取得可能日数は1年間で7日以内です。
【取得例】
- 子どもの病気による看護や通院のため、2時間休暇を取得。
- 参観日など学校行事への参加のため、4時間休暇を取得。
お給料はどうなる?
特別休暇であり有給のため、給料が減額されることはありません。
他の制度と併用はできる?
- 時短勤務・部分休業どちらも併用できます。
まとめ
今回は教員の産休制度の仕組みや妊娠・子育てに関する制度などをご紹介しました。
教員は民間に比べ、産休・育休の制度はかなり充実していることが分かりました。
これから出産を控えていたり、将来子供を授かりたいと思っている方の参考になれば嬉しいです。
子育てと教師の仕事との両立は簡単なものではありませんが、制度を上手く活用して、夫婦で協力しながら子育てをしていきましょう。